その最たる象徴が、写真家・篠山紀信氏とのコラボレーションによる写真集の出版だろう。現役のトップスターが、しかも男役が劇団の枠を超えて個人の写真集を出すなど、前代未聞の暴挙とされた。露出度の高いカットや、宝塚の「男役」という記号を剥ぎ取った一人の女性としてのポートレートは、劇団上層部を激怒させたと言われている。
しかし、市場の反応は熱狂そのものだった。チケットは争奪戦となり、それまで宝塚に興味のなかった層までが劇場へ押し寄せた。彼女は「清く正しく美しく」というモットーに、新たに「たくましく、自分らしく」という現代的なエッセンスを注ぎ込んだのだ。