この都市伝説を単なる妄想と切り捨てられないのは、宮崎駿監督自身の発言や、制作スタッフの証言があるからです。宮崎監督はインタビュー等で、「この映画は神経症と失われた魂の物語である」といった趣旨の発言を残しています。また、作中に登場する輪廻転生や、三途の川を思わせる描写についても否定していません。
ジブリ作品は、子供向けのアドベンチャーとしての表の顔と、神話や民俗学的なメタファーを詰め込んだ裏の顔を併せ持ちます。『千と千尋の神隠し』が八百万の神々の世界を描いたように、『崖の上のポニョ』もまた、生と死が渾然一体となった世界を美しく、かつ恐ろしく描き出しているのです。監督にとって「死」は恐れるべきものではなく、生命の循環の一部であり、だからこそあの水没した世界はあんなにも光に満ちていたのかもしれません。