かつて、ネット上の書き込み者を特定するには年単位の歳月と膨大な裁判費用が必要だった。被害を受けたタレントや事務所が泣き寝入りを強いられてきた最大の理由がそこにある。だが、法改正の定着と裁判所の保全手続きの迅速化が進んだ結果、特定までの期間は劇的に短縮された。
弁護団の関係者は匿名を条件にこう語る。「数年前までなら『立証が難しい』と見送られていた誹謗中傷の事案でも、現在はAIによる自動証拠保全システムと迅速開示手続きの組み合わせにより、最短数週間で発信者のIPアドレスと契約者情報が特定されます」。もはや、投稿を削除してアカウントを消しても逃げ切ることは不可能に近い。ログはデジタル上の足跡として確実に残り続け、逃走の試みすらも悪質性の証拠として裁判で突きつけられるのだ。