大瀧詠一が創り出した音には、流行り廃りという概念が存在しないかのようだ。彼がこだわり抜いた「ナイアガラ・サウンド」と呼ばれる独自の音響世界は、何重にも重ねられた楽器の響きと、クリアでありながら温かみのあるボーカルが特徴である。1997年当時、CDバブルの絶頂期にリリースされたこのシングルは、ミリオンセラーを記録した。
それから約30年。音楽の聴き方はCDからサブスクリプションへと完全に移行した。しかし、スマートフォンの安価なイヤホンから流れてくるその音響設計の緻密さは、現代のリスナーにとっても新鮮な驚きを与えている。圧縮された音源であっても失われない、圧倒的な「音の奥行き」がそこにはある。