牧野つくしの人間性を語る上で避けて通れないのが、極端なまでにトラブルメーカー揃いだった実家の家族設定です。
父親のリストラ、相場暴落による借金、夜逃げ同然の引っ越し、果ては漁村での出稼ぎ生活など、牧野家は幾度となくつくしに経済的・心理的な重圧をかけ続けました。連載当時の読者コミュニティや現代のSNS検証においても「親の金銭感覚が破綻しすぎている」「つくしがヤングケアラー状態ではないか」と指摘されるほどの過酷な境遇でした。
しかし、なぜつくしは道明寺家の天文学的な財力に依存し、安易に逃げ込まなかったのか。ここに彼女の特異なメンタリティが存在します。
家族社会学および心理学の視点から分析すると、つくしは典型的な「逆境耐性(レジリエンス)」の高いパーソナリティを備えていました。親の借金や理不尽なトラブルに対して盲目的に従属する「共依存」に陥ることなく、弟の進(すすむ)を気にかけながらも、自分自身の尊厳と倫理観の境界線(心理的バウンダリー)を明確に死守していました。
彼女の代名詞である名言「ありえないっつーの!」は、単なる反発の口癖ではなく、理不尽な暴力や金権主義、そして家族の甘えに対して自らのアイデンティティを守るための強固な防衛宣言だったと言えます。