「掻き毟れ、疋殺地蔵」という解号とともに解放される始解。その刀身から伸びる三本の刃と、柄の根元に位置する不気味な地蔵の顔面は、一度見たら忘れられない異様な圧迫感を放つ。だが、この斬魄刀の本質は外見の奇抜さではない。真の恐怖は、その刃が齎す不可避の生理現象にある。
刃で斬りつけられた対象は、四肢の運動神経のみを遮断される。ここで特筆すべきは、痛覚神経が一切麻痺しないという拷問めいた仕様だ。動くことすら許されない肉体のまま、激痛だけを脳でフルに感じ続ける。これこそが涅マユリが構築した絶対的優位の基盤である。さらに解明された秘匿情報が明かすのは、単なる麻痺毒にとどまらない。マユリは戦う相手ごとに毒の成分を自ら組み替え、常に相手を死に至らしめるか、あるいは実験台として無力化する独自の毒殺機能をアップデートし続けている。
劇中で見せた無数の毒素や神経麻痺の組み合わせは、もはや刀本来の霊力というより、科学者としてのマユリが施した改造の賜物だ。対戦相手の生体データをその場で解析し、リアルタイムで抗体すら無効化する毒の精製。疋殺地蔵の「真の能力」とは、相手の逃げ道を物理的・生理的に完全に塞ぎ込む、底なしの戦術的包囲網に他ならない。