事故の直後、動転する遺族のもとへオーナー側から高額な請求書が届く事例は後を絶ちません。しかし、法的な観点から見ると飛び降り事故遺族の支払い義務は、世間一般に恐れられているほど無条件なものではありません。
民法上の原則として、不法行為責任(民法709条)は行為に及んだ本人だけに帰属します。たとえ親や配偶者、子どもであっても、成人した家族の個人的な行為に対して連帯して責任を負う法的な義務はありません。
ただし、損害賠償請求権は「本人のマイナスの財産(借金・債務)」として扱われるため、本人が死亡した瞬間に法定相続人へ相続されることになります。つまり、遺族が支払いを求められるのは「家族だから」ではなく、「本人の損害賠償債務を相続した相続人だから」という法的な建て付けに基づいています。