全国の書店員が最も売りたい本を選ぶ本屋大賞において、複数回の戴冠という快挙を果たした裏には、壮絶なまでの執筆現場の苦闘があった。『流浪の月』で頂点に立ち、さらに『汝、星のごとく』で再び頂点を極めた際、著者は自身の中に宿るプレッシャーとどのように対峙したのか。
執筆当時の裏話として伝えられるのは、極限まで推敲を重ねる妥協なきデスクワークだ。登場人物の一言一言が真実の言葉として響くまで、何十度もプロットを解体し、書き直す。自身の肉体を削るようにして生み出されたキャラクターたちは、だからこそ紙面を超えて読者の心に生々しく生き続ける。「物語の神様に嘘をつかない」という愚直なまでの愚直さが、あの奇跡的なストーリーテリングを支えている。