車椅子のイラストを作成・選定する際、最もクレームや違和感を生みやすいのが「構造的な不整合」である。日常的に車椅子を使用している当事者や医療従事者から見れば、非現実的なデフォルメは一目で違和感として伝わってしまう。
特に注意を払うべきポイントは以下の通りだ。
・ハンドリムの有無:自走式車椅子には、タイヤの外側に手で漕ぐための丸いリング(ハンドリム)が必ず存在する。これが抜けていると、自力で移動できない不自然な描写になる。
・フットサポートと足の位置:足が宙に浮いていたり、ペダルから不自然に落ちていたりする描写は転倒のリスクを想起させ、福祉の現場では不適切とされる。
・キャスター(前輪)の接地と向き:小さな前輪が進行方向と逆を向いていたり、浮き上がっていたりすると走行感が破綻する。
・ブレーキレバーの位置:タイヤの近くにあるはずの駐車ブレーキが省略されると、安全管理の観点から違和感を持たれやすい。
単なる「乗り物」として描くのではなく、身体の一部として機能しているリアリティを意識すること。この細部への配慮こそが、医療・福祉関係のパンフレットやマニュアルにおいて読者の信頼を勝ち取る決定打となる。