原作者であるやなせたかしは、かつて作品に登場するキャラクターたちの出自について興味深い発言を残している。実は、バタコさんもジャムおじさんも人間ではなく「妖精」に近い存在なのだという。だからこそ、彼女たちは年齢をとらず、過酷な状況下でも笑顔を絶やさずパンを焼き続けることができる。
やなせたかしが描こうとしたのは、他者を助けるために己の身を削る無償の愛だった。新しい顔を投げるという行為は、単なるパーツ交換ではない。失われかけた命を繋ぎ止め、希望を再び燃え立たせる「生命のバトンタッチ」そのものなのだ。バタコさんはその最も重要な役割を担っている。