中世の暗闇において純粋な死の恐怖であった百鬼夜行は、なぜ時代を超えてこれほどまでに日本人の心を捉え続けるのでしょうか。その真相を探ると、日本人独特の「自然観」と「造形美への愛着」が見えてきます。
電気の普及によって都市から絶対的な暗闇が消失した近代以降、妖怪は「命を奪う恐怖の怪異」から「親しみと愛嬌を持つカルチャー」へと役割を変容させました。八百万(やおよろず)の神々を信仰してきた日本文化には、万物に魂を見出すアニミズムが根底にあります。粗末に扱われた古道具が化けて夜を行進するという付喪神の物語は、物に対する感謝と畏敬の念、すなわち「物を大切にしなければならない」という教訓を内包していました。
闇の恐怖を克服した現代においても、ゲームやアニメ、各地で開催されるアート展において百鬼夜行が再解釈され続けているのは、私たちが合理性だけで割り切れない「人知を超えた異界の気配」に無意識のロマンを感じているからに他なりません。