抜歯後のトラブルで最も恐れられているのが「ドライソケット(抜歯窩治癒不全)」です。通常、抜歯後の穴は血餅で満たされて骨が保護されますが、何らかの理由で血餅が剥がれたり形成不全を起こすと、骨の表面(歯槽骨)が口腔内に直接剥き出しになります。骨の神経に唾液や細菌、冷水が直接触れることで、耐え難い激痛が生じる病態です。
通常の術後痛とドライソケットを見分けるための決定的な基準は、「痛みの発症時期と強さの推移」にあります。
臨床データによると、下顎の埋伏親知らず抜歯におけるドライソケットの発生率は約2〜5%と報告されています。抜歯後3日以上経っているのに痛みが強くなり、「薬が切れると眠れない」「痛みが頭や顎全体に響く」という状態であれば、我慢せずに直ちに執刀医や歯科医院を受診してください。
歯科医院では、抜歯窩の内部を無菌的に洗浄し、抗生剤・消炎鎮痛成分を含んだ軟膏や被覆材(軟膏ガーゼ等)を填入する処置を行うことで、即座に激痛を沈静化させることが可能です。