岐阜県の美濃東部から飛騨南部に広がる栗きんとん文化圏において、八百津町は古くから独自の菓子文化を発展させてきました。かつて木曽川の舟運で栄えた黒瀬湊(くろせみなと)を擁する八百津町は、物資の集散地として全国の良質な砂糖や食材、そして洗練された茶の湯文化が早くから流入した歴史を持ちます。
八百津町の和菓子職人たちが受け継いできたのは、厳選された国産栗と極少量の砂糖のみを用い、職人の手作業で栗本来の水分と甘みを極限まで引き出す直火炊きの技術です。添加物を一切使わず、茶巾絞りで一つひとつ丁寧に仕上げられる一粒には、素材そのものの命が凝縮されています。近年では、全国の栗菓子ファンがシーズン中に八百津の店舗へ直接車を走らせる光景が秋の風物詩として定着しています。