身体の接触において最も大きなハードルとなりやすいのが、自閉スペクトラム症(ASD)の当事者が抱える感覚過敏だ。特定の肌触り、予期せぬ愛撫、さらには室内の照明の明るさや部屋の匂い、相手の呼吸音に至るまで、非当事者には気にならないレベルの刺激が「激しい苦痛」や「過剰な情報オーバーロード」として脳に届くことがある。
一方で、刺激に対する反応が極めて鈍い感覚鈍麻の傾向を示す場合もあり、この非対称性がパートナーを戸惑わせる原因にもなる。また、「雰囲気で察する」という非言語的な暗黙の了解が求められやすい性的な場面では、言葉の裏を読むことが得意ではない当事者が何をしてよいか分からず固まってしまう場面も少なくない。