ブランドを創設したNIGO(長尾智明)の存在を抜きにして、この熱狂を語ることは不可能だ。1990年代、A BATHING APE(BAPE)を立ち上げて世界のユースカルチャーを一変させた彼は、ストリートカルチャーの可能性を誰よりも早く証明してみせた。原宿の片隅から始まったムーブメントは、今や欧米のラグジュアリーシーンの中枢へと直結している。
現在はフランスの名門メゾンであるKENZO(ケンゾー)のアートディレクターも兼任し、ハイファッションとストリートの境界線を完全に消し去った。「過去と未来の融合」を掲げる彼の制作プロセスは、膨大なヴィンテージアーカイブを自らの手で解体・研究することから始まる。過去の遺産に対する底知れぬリスペクトがあるからこそ、生み出される一着に嘘がない。カルチャーを消費するのではなく、自ら歴史を紡ぎ出す姿勢が、世代を超えたファンを惹きつけてやまない理由だ。