「アンパンマン泥人形」をめぐっては、いくつかの誤解が拡散している。まず、「公式が泥人形を2026年に新たに発表した」という説は誤りだ。公式発表・プレスリリースを確認する限り、2026年に新規の泥人形作品が公開された事実はない。あくまで過去の資料や構想が展覧会を通じて再注目されたのである。
次に、「泥人形はやなせたかしが実際に多数制作し、そのすべてが現存している」という説も正確ではない。関係者の証言によれば、当時の試作は陶芸用の粘土ではなく、紙粘土や身近な土を用いた簡易なものが多く、経年劣化で失われたものも少なくない。現在確認できるのは、スケッチや写真、そして一部の関係者が保管していた資料に限られる。
さらに、「泥人形はアンパンマンのダークな側面を象徴している」という解釈も、やなせ氏の思想とはずれがある。やなせ氏は一貫して「アンパンマンは弱くても人のために戦う」というメッセージを発信しており、泥という素材は「弱さ」や「はかなさ」ではなく、「大地への感謝」や「命の循環」を表していたと考えるのが自然だ。