2008年9月1日の夜、首相官邸の記者会見場には張り詰めた緊張感が漂っていた。政権発足からわずか約1年、福田康夫内閣総理大臣は突然の辞意を表明した。ねじれ国会での法案成立の難航や党内の支持率低迷など、重くしかかる課題を抱える中での決断だった。
会見が終盤に差し掛かった時、一人の記者が「首相の会見が国民には他人事のように聞こえる」という旨の質問を投げかけた。その瞬間、沈着冷静で知られた首相の表情が一変した。「私は自分を客観的に見ることができる。あなたとは違うんです」。この一瞬のやり取りが、直ちに日本中を駆け巡ることになる。