長年にわたり、メディアやファンの間では二人の「不仲説」や「確執」が噂されてきた。テレビや映画での共演機会が極めて少なかったことが、その疑惑に火を注いだのは事実である。
だが、その裏にあった真相は確執などではなく、プロの表現者としての強固な矜持だった。兄・渡哲也は石原裕次郎率いる石原プロモーションを支える重責を担い、やがて社長として会社を守る立場となった。対して渡瀬恒彦は、どこまでも一人の泥臭い俳優として現場に立ち続ける道を選んだ。
もし軽安に共演を重ねれば、互いのキャリアや「石原プロ」という組織のカラーを曇らせかねない。二人は私生活で酒を汲み交わしながらも、公の場ではあえて距離を保ち続けた。言葉を超えたこの距離感こそ、彼らなりの深い兄弟愛の証だったと言える。