志村けんの笑いの原点を語る上で、ザ・ドリフターズの一員として出演した伝説の番組『8時だョ!全員集合』の存在は外せない。毎週生放送の緊張感の中で鍛え上げられた間と身体のキレは、後の単独冠番組である『志村けんのだいじょうぶだぁ』でさらなる開花を遂げた。彼のコントは単なる思いつきではなく、綿密に計算されたセット、音楽、音響効果、そして共演者とのミリ秒単位の呼吸によって構成されていた。
加藤茶との息の合った掛け合いや、ヒゲダンスに代表される視覚的なお笑い・コメディの追求は、言語に頼らない「世界共通の笑い」のプロトタイプであった。テレビが娯楽の王様であった時代、志村は寝る間も惜しんで海外の洋画やサイレントコメディを研究し、自身のお笑いスタイルへと再構築し続けた。そのストイックな姿勢こそが、半世紀にわたり第一線で君臨し続けた最大の原動力である。