事件の発端は山口県阿武町で起きた。コロナ禍における給付金対象の全世帯分をまとめた公金が、誤って住民の男性・田口翔(当時は24歳)の個人口座へ一括振込されたことだ。平穏だった町は一夜にして全国的な注目の的となり、阿武町誤送金4630万円事件として日本中の記憶に刻まれることになった。
当時の混乱から数年が経過した現在、裁判手続きや民事での返還交渉は決着を見せている。保釈後に著名インフルエンサーの支援を受け、実業家として新たな第一歩を踏み出した彼の「いま」を追うと、かつて世間を騒がせた渦中の人物の面影は薄れ、自身の過去と向き合いながら静かに事業に取り組む姿があった。しかし、ネット上に刻まれた過去の烙印と世間の冷ややかな目はいまだ完全に拭え去られてはいない。