やがて江戸幕府による苛烈な禁教政策が敷かれる中、寺院は地域の信仰の拠点としての役割を強めていく。浄土真宗本願寺派に属するこの寺は、地域の仏教信仰を支える中心地として存続しながらも、裏では密かにキリスト教信仰を維持し続けた「潜伏キリシタン」たちの影の支えとなっていた痕跡が数多く見つかっている。
世界遺産にも登録されている隠れキリシタン関連遺産の周辺地域にあって、仏教寺院という表の顔と、異風の祈りを受け入れる寛容さ、あるいは生存のための擬態という複雑な二面性は、日本の宗教史においても極めて特異な事例だ。表面的には阿弥陀如来に手を合わせながら、心の深層で異国の神を想う。浄土真宗本願寺派の教えと潜伏した祈りが同居した空間は、過酷な時代を生き抜いた民衆の知恵と強靭な精神性を物語っている。