クロ ヌマ タカトシが手がけるモチーフは多岐にわたるが、そのすべてに共通するのは「沈黙」と「佇まい」である。
静かな眼差しを向ける人物像
彼が創り出す立像や胸像は、特定の個人を描いたものではない。目鼻立ちは極限まで省略され、抽象化されていることが多い。しかし、そのわずかに傾いた首の角度や、まっすぐに伸びた背筋のラインから、言葉にならない感情が漏れ聞こえてくる。
喜びや悲しみといった明確な喜怒哀楽ではなく、ただそこに生き、存在しているという感覚。観客は像の前に立つことで、自分自身の内面と向き合う鏡のような時間を得る。
佇む鳥と動物たちの造形
翼を閉じ、静かに佇む鳥のオブジェもまた、彼の代名詞と言える作品群だ。今にも飛び立ちそうな躍動感ではなく、「羽を休めている瞬間」の静止した時間が切り取られる。動物の骨格の美しさを捉えつつも、過度なリアルさを排除したフォルムは、住空間に自然と溶け込む穏やかさを備えている。