この本物のチーズが持つ真価を語る上で欠かせないエピソードがある。3つ星レストラン「オステリア・フランチェスカーナ」のオーナーシェフ、マッシモ・ボットゥーラが起こした感動的なドラマだ。Netflixのドキュメンタリー番組『シェフのテーブル』でも大きく取り上げられ、世界中で大きな反響を呼んだ。
2012年、イタリアのエミリア・ロマーニャ州を襲った大地震により、何万個ものパルミジャーノ・レッジャーノのチーズホールが破壊された。地域全体の乳製品産業が壊滅的な打撃を受けるなか、ボットゥーラはこのチーズを丸ごと余すことなく活用する伝説のレシピ「リゾット・アッラ・カチョ・エ・ペペ」を考案。世界中の料理人に呼びかけて消費を促し、地域の産業を全滅の危機から救い出した。一塊のチーズには、単なる調味料を超えた文化とコミュニティの存続がかかっている。