甲子園の醍醐味は、全国的には無名だった逸材が一夜にしてスターダムへと駆け上がる瞬間だ。激戦区の地方大会を突如として勝ち上がり、本大会の切符を手にしたチームの中に、驚くべき成長曲線を描く大器が潜んでいる。
春の段階では控え選手だったものの、夏に向けて急激に身体が大きくなり、球速が10キロ以上跳ね上がった投手。あるいは、怪我から復活し、地方大会の全試合でマルチ安打を記録した野生味溢れる外野手。彼らの共通点は、伸びしろの大きさと貪欲な吸収力にある。
「まだフォームに粗削りな部分はあるが、潜在能力(ポテンシャル)だけで言えば全国のトップクラスに引けを取らない」と語るプロ関係者は多い。一発勝負の甲子園という巨大なエネルギーの中で、試合ごとに進化を遂げる姿は、観客の心を揺さぶって離さない。