パリの朝は早い。クロワッサンを頬張り、ランドセルならぬ現地のバックパックを背負った子どもたちを送り出すことから杏の一日が始まる。双子の長女と次女、そして甘え盛りの長男。3人は現地の学校環境にすっかり溶け込み、フランス語と日本語が飛び交うバイリンガルな生活を自然体で楽しんでいる。
移住当初は言葉の壁や文化の違いに戸惑う瞬間もあった。だが、子どもの適応力は大人の想像を軽やかに超えていく。学校からの連絡事項を解読し、宿題のサポートに頭を抱える母親の横で、子どもたちは現地の友人たちと屈託のない笑顔を交わす。杏は決して完璧な教育を押し付けない。「自分の言葉で考え、自分の足で立つ人になってほしい」というシンプルな願いが、日々の対話の端々に息づいている。