「射は仁なり。射は進退周還必ず礼に中る」。伝説の弓聖として知られる阿波研造は、弓を引く技術と人間の内面、そしてその姿態の一体化を説いた。装いの乱れは精神の乱れであり、心の揺らぎはそのまま矢の落とし場所へと直結する。
阿波研造の精神が現代に引き継がれているのは、まさにこの「姿態の美」だ。帯が美しく締まり、袴のヒダが垂直にすっと落ちている状態は、射手が正しく「胴造り」を行えている証拠でもある。帯締め一本の結び方にこだわる姿勢は、単なる見た目のオシャレではない。自らの心と身体を一つに統制し、的に向かうための武道的な準備そのものなのだ。