馬渡新平の代表技法は、刷毛目と粉引きだ。どちらも朝鮮半島から伝わった古い技法である。しかし、彼の手にかかると、それは古臭くない。むしろ、驚くほど現代的だ。
刷毛目とは、化粧土を刷毛で塗る技法。筆跡が模様となる。一筆一筆、陶芸家の手の動きが記録される。機械では出せない、人間の痕跡。
粉引きは、赤土に白い化粧土をかけ、その上に透明釉をかける技法だ。焼成中に細かなヒビが入る「ヒビ粉引き」は、馬渡の得意とするところ。このヒビは欠陥ではない。使い込むうちに茶渋が染み込み、表情が変わる。器が成長するのだ。
リム皿からカフェオレボールまで:日常に溶け込む器
馬渡の作品群は、実に多様だ。リム皿、深碗、カフェオレボール。どれも日常使いの器である。
リム皿は、縁が広く平らで、盛り付けやすい。深碗は、汁物にも丼にも使える。カフェオレボールは、両手で包み込むように持てる。
彼の器に共通するのは、「使いやすさ」だ。芸術性と実用性。この二つは対立しない。むしろ、実用性の中にこそ、本当の美しさが宿る。それが、馬渡の信念だ。
しかも、一つ一つが微妙に違う。同じ型でも、釉薬のかかり方、焼成の具合で、色味も質感も変わる。量産品にはない、一期一会の出会い。