彼女を単なる「狂気の殺人鬼」として切って捨てることは容易だ。だが、物語が紐解いた彼女の生い立ちは、視聴者の心にぬぐい去れない罪悪感を植え付けた。生まれ持った「個性」が血に執着する性質であったがゆえに、両親や周囲から「気持ち悪い」「異常だ」と否定され続けた幼少期。「普通の子になりなさい」という言葉は、彼女にとって自らの存在理由を根底から否定する呪いに他ならなかった。
仮面をかぶり、必死に「普通」を演じ続けた抑圧の日々。それが限界を迎えたとき、彼女の感情は爆発し、敵(ヴィラン)連合へと身を投じることとなる。「好きな人の血を吸い、その人になりたい」という彼女なりの純粋な愛情表現は、社会の秩序においては「悪」でしかなかった。この断絶こそが、トガヒミコの物語における最大の悲劇であり、同時に彼女を孤高の存在へと押し上げた原動力である。