血圧を語るうえで避けて通れない脈圧計算方法は極めて明快です。心臓が収縮して血液を勢いよく送り出した瞬間の「収縮期血圧(最高血圧)」から、心臓が拡張して血液を溜め込んでいるときの「拡張期血圧(最低血圧)」を差し引くだけで算出できます。
一般的な成人の脈圧正常値は30〜50mmHgの範囲と定義されています。例えば、上が120mmHg、下が80mmHgであれば脈圧は40mmHgとなり、理想的な血管の弾力性が保たれている状態と判断されます。この収縮期血圧拡張期血圧差が恒常的に広がったり縮んだりしている場合、心臓のポンプ機能か血管壁のどちらかに構造的な破綻が生じている可能性を疑わなければなりません。
ここで多くの人が混同しやすいのが「平均血圧」との相違点です。この平均血圧脈圧違いを理解することは、血管障害の局所的な部位を特定する上で欠かせません。
平均血圧は「拡張期血圧 +(脈圧 ÷ 3)」で算出され、脳や腎臓といった末梢の細い動脈にかかる持続的な圧力を示します。毛細血管側にかかる抵抗(末梢血管抵抗)を把握する指標が平均血圧であるのに対し、脈圧は心臓に近い大動脈をはじめとする「太い血管のしなやかさ」を直接反映します。つまり、細動脈の硬化度を測る平均血圧と、大動脈の硬化度を暴く脈圧は、血管の健康をチェックする両輪の関係にあります。