かつて欧米をはじめとする多くの国々では、魚の精巣を食す習慣は皆無に等しく、珍妙な「奇食」として捉えられるのが常だった。
しかし、近年のプレミアム和食ブームとイノベーティブ・フュージョン料理の台頭がその固定概念を打ち破った。パリやニューヨークで腕を振るうミシュラン星付きシェフたちが、そのクリーミーな質感をバターソースやパスタ、フラン(西洋風蒸し物)の隠し味として取り入れ始めたのだ。素材そのものが持つ強い旨味成分(グルタミン酸やイノシン酸)が西洋料理の技法と出会い、今や「一度は食べるべき最高級の和食材」として世界中の美食家の探求心を刺激している。