温泉の質は、湧出する自然の恵みだけで決まるわけではない。それを管理する「湯守(ゆもり)」の技術と執念があって初めて、極上の浴体験が完成する。ぬくい温泉の源泉は低温泉であるため、絶妙な温度調整と鮮度の維持には極めて高度な職人技が要求される。
外気温や湿度、天候の変化を秒単位で肌に感じ取りながら、ボイラーの加温バランスと給湯量を微調整する。湯守は一切の妥協を許さない。湯口から注がれる湯の肌触り、酸化を防ぐ水流のコントロール。日本温泉協会が定める厳しい基準をクリアし、高い評価を維持し続けている背景には、こうした名もなき職人たちの徹底した品質管理が存在する。「生きている湯を、もっとも良い状態で届ける」。その愚直な姿勢が、湯船の底に澄み渡る透明感となって結実している。