『千と千尋の神隠し』の声優一覧クレジットに燦然と輝く大泉洋さんの名前ですが、初見で彼の声だと気づく人は極めて稀です。彼が息を吹き込んだのは、巨大な湯屋「油屋」のフロント業務を一手に担う番台蛙(ばんだいがえる)というキャラクターでした。
番台蛙は、油屋の主である湯婆婆の直下に位置し、客の階級や従業員の身分に応じて「薬湯のお札」を管理・配分する中間管理職のような存在です。緑色の肌に長い口ひげをたくわえ、赤い前掛けを着けた貫禄のある容姿をしています。大泉洋さんは持ち前のバリトンボイスと巧みな抑揚を駆使し、油屋社会の冷徹な上下関係を体現するキャラクターを見事に演じ切りました。
ファンなら誰もが耳に残っている番台蛙の代表的なセリフがこちらです。
「手出しするな。お客様がお怒りになれば、お前たちなど消し飛ばされてしまうぞ」
「千、これを受け取れ。オクサレ様にお出しする最高級の薬湯札だ」
「手前どもには扱いきれぬお方でございます!」
千尋がまだ新米として周囲から疎まれていた序盤では冷酷にあしらい、オクサレ様(名のある河の神)の見事な接待を成功させ莫大な砂金を湯屋にもたらした途端に掌を返すなど、俗物性と哀愁を兼ね備えた演技が高く評価されています。