この宿の最大の魅力といえば、眼下に荒々しくも美しく流れる梓川渓谷を見下ろす露天風呂に他ならない。崖に突き出すように作られた浴槽に浸かると、目の前には北アルプスの原生林が迫り、季節ごとに表情を変える自然のダイナミズムを全身で受け止めることができる。
注ぎ込まれる湯はもちろん、一切の加水・加温を行わない純粋な源泉掛け流しだ。泉質はナトリウム・カルシウム―炭酸水素塩・硫酸塩温泉。温泉街の人工的な温泉とは一線を画す高い薬効を秘めている。湯口から滔々と注がれる温湯は、登山で酷使した筋肉の疲労を和らげるだけでなく、切り傷や冷え性、皮膚病にも優れた効能を発揮する。湯上がりの肌にしっとりと残る温もりは、湯守が毎日欠かさず湯口の掃除と温度管理に汗を流している証左でもある。