市場を驚かせたレーサムTOB(株式公開買付)プロジェクト。買収総額は1500億円規模に達し、業界関係者の度肝を抜いた。ヒューリック株式会社の狙いは明白だった。自社が持つ盤石な資金力・信用力と、レーサムが誇る富裕層ネットワークおよび企画開発力の融合だ。
買収完了に伴い、レーサム社長と経営陣が打ち出した新体制の核心は「自立的シナジー」にある。ヒューリックの完全子会社となりながらも、独立したブランドと意思決定スピードを死守する体制を敷いた。親会社の巨大なバランスシートを活用して大型物件の仕入れを加速させる一方、レーサム特有の柔軟な商品設計力には一切手を付けない。この絶妙な距離感こそが、新体制の成否を分ける生命線となっている。