トップモデルとして順風満帆に見えた東出でしたが、2011年頃、20代前半を迎えたタイミングでモデル業からの引退を決意します。「服を美しく見せるためのハンガーであること」に限界を感じ、より内面を曝け出す表現を求めて挑んだのが、2012年公開の映画『桐島、部活やめるってよ』のオーディションでした。
演技経験が全くない状態ながら、吉田大八監督は彼が持つ特異な存在感――「校内ヒエラルキーの頂点にいながら、心の中に巨大な虚無感を抱える高校生・菊池宏樹」のリアリティを見抜き、主要キャストへと抜擢。映画は大ヒットを記録し、東出自身も第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、役者デビュー作にして鮮烈な評価を確立しました。
そして決定打となったのが、2013年後期のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』です。ヒロインの相手役である帝大生・西門悠太郎役を好演。長身に学生服やクラシカルな着物を着こなす姿は「昭和初期の帝大生がそのままタイムスリップしてきたかのようだ」と全国的な絶賛を集め、お茶の間の国民的スターへと登り詰めました。この時期の東出昌大は、知性と清潔感、誠実さを一身に体現する「正統派の白馬の騎士」として世間に定着していったのです。