しかし、現実の組織生活は論理だけで動いているわけではない。前例踏襲を美徳とする官僚的な企業風土や、中身のない社内政治。これらは建築家型にとって最も耐えがたい精神的苦痛となる。自らの正論が組織の感情論によって退けられたとき、彼らは深い冷笑主義へと逃げ込みがちだ。
だが、冷笑は何も生み出さない。優れた建築家型がビジネスの荒波で真の覇権を握るのは、「感情論という非合理な変数」すらも自らのシステム設計に組み込んだ瞬間である。他者の感情的な動機を冷徹に計算に入れ、相手が受け入れざるを得ないインセンティブ構造を設計する。理詰めで相手を論破するのではなく、相手が自発的に論理的選択肢を選びたくなる舞台を用意するのだ。