80年代後半、TBSで放送された『パパはニュースキャスター』は、彼のキャリアにおける大きな転換点だった。ひょんなことから3人の少女の父親になる独身キャスターを演じ、従来のクールなイメージを打ち破ってみせた。劇中で見せた子どもたちに振り回される滑稽な表情は、実生活での子育ての経験がわずかに滲み出た瞬間だったのかもしれない。
そして1990年代、フジテレビの看板作品となった『古畑任三郎』で彼の人気は決定的なものとなる。三谷幸喜の手によるこの傑作で、彼は唯一無二の刑事を演じきった。犯人との心理戦で見せる鋭い眼光と、気品あふれる佇まい。虚構の世界で完璧な男を演じ続けたからこそ、現実の家庭という聖域を何よりも愛おしく守り抜いたのだ。