パンを体系的に理解するうえで最も基礎となるのが、油脂・砂糖・乳製品などの配合割合による「リーン(簡素)なパン」と「リッチ(贅沢)なパン」の分類です。リーンなパンは小麦本来の風味と噛み応えを楽しむバゲットやカンパーニュなどが該当し、リッチなパンはバターや卵をふんだんに使ったブリオッシュやクロワッサンなどが代表格となります。
さらに日常の食卓を支える食パンの種類と違いに目を向けると、蓋をして焼き上げ水分を逃さずもっちり仕上げる「角型食パン(プルマン)」と、蓋をせず山型に膨らませて軽やかな気泡とサクサク感を生み出す「山型食パン(イギリスパン)」に大別されます。生クリームやバターを贅沢に配合した「ホテルブレッド」も含め、生地の密度と気泡の大きさが食感の好みを分ける決定打となっています。
また、製法における天然酵母とドライイーストの違いも風味を大きく左右します。工場で単一の優良菌を純粋培養したドライイーストが短時間で安定した発酵力を発揮するのに対し、果実や穀物に付着した複数の酵母菌や乳酸菌を共生させる天然酵母は、長時間の低温発酵によって複雑なアミノ酸・有機酸を生成し、独特の芳醇な香りと奥行きある酸味をもたらします。