吾峠呼世晴氏のキャリアは、集英社が主催する「第70回JUMPトレジャー新人漫画賞」への投稿から本格的にスタートした。佳作を受賞した読み切り作品『過狩り狩り』は、すでに独特の異彩を放っていた。血生臭い世界観と独特の間、そして切ない人間ドラマ。この原石が磨かれ、後に週刊少年ジャンプで誕生したのが『鬼滅の刃』である。
王道の少年漫画の枠組みでありながら、敵である「鬼」の過去や悲哀にもスポットを当てるダークファンタジーとしての側面は、当時の誌面でも一際存在感を放っていた。容赦ない展開と、泥臭くも前を向く主人公・竈門炭治郎のまっすぐな強さ。少年漫画の伝統を受け継ぎつつも、既存の枠にはまらない新鮮な感性が、瞬く間に読者の心を捉えた。