この異例の熱量は、予告ナレーションだけで孤立して生まれたわけではない。本編で主人公・ケンシロウを演じる神谷明の存在もまた、大きな刺激となっていた。神谷がマイクの前で繰り出す「アタタタタタッ!」という魂の叫び。それに触発されたキャスト陣全体が、己の限界に挑み合うような空気がアフレコ現場を支配していたのだ。
千葉はナレーションだけでなく、作品に登場する雑魚キャラクターや強烈な悪役たちも兼任で演じ分けた。神谷明が放つケンシロウの正義の怒りと、千葉繁が吹き込む敵役の狂気、そして予告での暴走気味なシャウト。二人のトップ声優が火花を散らした化学反応こそが、作品全体に比類なき生命力を注入したのだった。