法律上の観点から整理すると、労働基準法において退職金の支払いは一切義務付けられていない。給料や残業代の支払いとは異なり、退職金はあくまで企業が任意で定める制度に過ぎないのだ。就業規則に規定がなければ、企業が労働者に対して1円も支払わなくても法的責任を問われることはない。
日本労働組合総連合会(連合)の意識調査を見ても、基本給の引き上げや流動的な人材確保を優先するあまり、長期的な退職給付債務を抱えることを忌避する経営者が増えていることがわかる。本来、資金力に乏しい事業者向けには国の後押しによる中小企業退職金共済(中退共)といった外部共済制度が存在する。しかし、掛け金の負担や手続きの手間を嫌い、導入を見送る企業が後を絶たない。