本作の凄まじい熱量を支えたのは、綾野剛さんを取り巻く超豪華キャスト陣の競演です。スカウト会社「バースト」とライバル会社「ハーレム」の縄張り争いを軸に、新宿の夜を支配しようとするヤクザ組織「紋舞会」が絡み合う緻密な人間関係が展開されます。
中でも映画ファンを熱狂させたのが、ライバルスカウト会社「ハーレム」のエース・南秀吉を演じた山田孝之さんとの壮絶な対峙です。プライベートでも親交が深い盟友関係にある2人ですが、現場に入るとその空気は一変しました。劇中終盤で繰り広げられる路地裏でのタイマンシーンでは、互いに当て身や打撃の衝撃を生々しく受けるほどの本気度でぶつかり合いました。手加減のないアクションの応酬は、役者としての絶対的な信頼関係があったからこそ成立した名場面です。
また、過酷な運命に翻弄される風俗嬢・アゲハを演じた沢尻エリカさんとの共演も見逃せません。心に深い傷を負い、ドラッグと孤独に苦しむアゲハを包み込む龍彦の不器用な優しさは、バイオレンス描写が続く物語の中で一筋の救いとして機能しました。綾野さんは現場において沢尻さんの精神的負担を細やかに気遣い、彼女の繊細な感情表現を引き出すサポートに徹していたと伝えられています。伊勢谷友介さん演じるスカウトの師匠・真虎(マコ)の底知れないカリスマ性も含め、完璧なキャスティングが生んだ奇跡的なアンサンブルでした。