オール・フォー・ワンの正体は、超常現象(個性の発現)が始まった黎明期に生まれた「超常社会の始まりそのもの」とも言える怪物です。混乱と差別が渦巻いていた時代、彼は荒廃した河川敷のゴミ溜めで、双子の弟である与一(よいち)と共に誕生しました。母親は異形を宿したまま死亡しており、生まれた瞬間から他者の命を奪い、糧とすることで生き延びてきたのです。
幼少期に読んだコミックに登場する悪役に魅せられた彼は、「世界中を自分の思い通りに動かす魔王」になることを渇望するようになります。他者から「個性」を強奪し、あるいは与えることで人々を支配下に置き、瞬く間に裏社会の絶対的支配者へと君臨しました。
しかし、唯一自分の思い通りにならなかったのが、病弱で無個性だと思われていた実の弟・与一でした。弟を手元に囲い込み、屈服させようとしたオール・フォー・ワンは、力づくで「力をストックする個性」を与えます。これが与一の体内に眠っていた「個性を他者に受け渡す個性」と混ざり合い、のちに彼を滅ぼすことになるワン・フォー・オール(OFA)が誕生するという皮肉な経緯を辿ることになりました。