池内万作が歩んできた道のりは、決していわゆる「二世タレント」のイージーモードではなかった。父である伊丹十三監督、そして祖父である東宝黄金期を支えた名監督・伊丹万作という重厚すぎる映画一族の血筋。幼少期から映画の現場や芸術に囲まれて育った彼にとって、表現の世界へ足を踏み入れることは必然であり、同時に巨大な壁との戦いでもあった。
イギリス留学を経て1990年代半ばに俳優デビューを果たした当時、周囲の視線は容赦なかった。しかし、彼は父親の威光を前面に出すような真似は一切しなかった。舞台での泥臭い稽古や、短尺のドラマでの癖のある役どころを淡々とこなし、現場のスタッフや共演者からの信頼を一つずつ勝ち取っていったのだ。