back numberのキャリアにおいて、名実ともに国民的バンドへと飛躍を遂げる大きな足がかりとなったのが『ヒロイン』でした。ヒロイン 発売日とタイアップ経緯を振り返ると、シングルとしてのリリースは2015年1月21日。これに先駆けて2014年末からオンエアが開始された『JR SKISKI』の2014-2015シーズンCMソングとして電撃的に書き下ろされ、雪景色とともに全国のお茶の間へ浸透しました。
制作の裏側には、音楽ファンを驚かせるback number ヒロイン 誕生秘話が存在します。作詞・作曲を手掛けた清水依与吏の回想録や当時のインタビューによると、原曲となるメロディの原形は2010年頃、インディーズ時代から既に存在していました。当時の制作現場で付けられていた仮タイトルは、冬の澄んだ空気とは正反対の印象を与える「電子レンジ」だったという逸話は有名です。「冷え切ったものを温める存在」という日常的なメタファーが根底にあったとされ、清水独特の生活感に根差した観察眼がうかがえます。
本作を語る上で欠かせないもう一つの決定打が、音楽プロデューサー・小林武史との初タッグです。それまでのback numberは、ギター、ベース、ドラムのアンサンブルを中心とした武骨なロックアプローチが主体でした。しかし本作では、小林武史とチェリスト・四家卯大による繊細かつダイナミックなストリングスアレンジを導入。清水依与吏が持つ哀切な歌声とドラマティックな旋律が雪の結晶のように幾重にも重なり合い、冬の寒空を一瞬で映画的な風景へと変貌させる普遍的なポップスへと昇華したのです。後に5thアルバム『シャンデリア』、そしてベストアルバム『アンコール』へと収録され、バンドの屋台骨を支える代表作となりました。