社殿の奥に鎮座する本殿は、安土桃山時代の天正9年(1581年)に再建されたものであり、国の重要文化財に指定されている。織田信長が安土城を築城し、この地で天下統一の野望を燃やしていた時期と鮮やかに重なる。三間社流造(さんげんしゃながれづくり)の美しい屋根の曲線と、細部に施された職人技の彫刻は、当時の建築技術の最高峰を物語っている。
安土城下町の繁栄と衰退をすぐ間近で見守り続けてきた建造物。風雪に耐え抜いた木肌の質感や、時を経た塗りの風合いには、人工物には決して真似できない圧倒的な重厚感が漂う。過度な観光地化や装飾を排し、創建当時の姿をそのまま留めている点こそが、本物志向の建築ファンや歴史研究者を惹きつけてやまない理由だ。