アブラゼミやミンミンゼミが猛暑のピーク時に勢力を誇るのに対し、ツクツクボウシは8月下旬から秋口にかけて盛んに鳴く。これには競合を避けるニッチ(生態的地位)の分散が関係している。
現代の昆虫学では、気温や日照時間のわずかな変化を彼らが体内時計で感知していることが実証されている。日本昆虫学会の年次大会でも、近年の気候変動に伴う初鳴き時期のシフトと、他種との発音周波数の重複回避に関する興味深い報告が相次ぐ。国立科学博物館に所蔵されている半世紀前からの音響データと現在の音声を比較する試みも進行中で、都市化や環境変化が彼らの周波数帯域にどのような影響を与えたかが解明されつつある。