アンパンマンの存在を語る上で欠かせないのが、最大のライバルであるばいきんまんだ。このキャラクターに命を吹き込み続けているのが、名優・中尾隆聖である。
戸田恵子と中尾隆聖の掛け合いは、日本のアニメ史に残る名コンビネーションと言っていい。いたずら好きで憎めないばいきんまんの素狂的なリアクションと、それを真っ直ぐ受け止めるアンパンマンの言葉。二人のマイクワークには、台本上のセリフを超えた生のやり取りが存在する。互いの声のトーンや間合いを瞬時に察知し、演技を昇華させていくプロセスは、ジャズの即興演奏を彷彿とさせる。