「熱があるが締め切りがあるから」と無理を出勤に移す行為は、企画面でも管理面でも破綻を招く。企業経営の視点で見れば、1人の無理な出勤がオフィス内クラスターを引き起こし、全社的な業務停止に追い込まれるリスクは計り知れない。現代の労働法務・リスクマネジメントにおいて、社員の健康管理と感染予防の徹底はコンプライアンスの柱そのものである。
万が一、企業が発熱を把握しながら過度な業務を命じたり、休ませない体制を放置していた場合、労働基準監督官による是正勧告の対象となる可能性がある。企業の安全配慮義務違反が問われれば、損害賠償請求や社会的信用の失墜といった深刻な事態へと発展しかねない。組織を守る立場にある産業医も、高熱を伴う社員の即時離脱と自宅療養を強く助言しており、現場の管理職には感情論に左右されない冷徹なリスク判断が求められている。