かつてファッションの悩みといえば、「センスがない」「体型が隠せない」といった主観的なものが大半だった。しかし今、状況は一変している。スマートフォンのカメラで顔や体をスキャンすれば、数秒で「あなたに最適な服」がリストアップされる。それにもかかわらず、なぜ混迷は深まるのか。
背景にあるのは、情報過多による選択肢の麻痺だ。SNSには毎日、異なる診断結果に基づく「正解コーディネート」が溢れ、トレンドは目まぐるしく変わる。自分自身の直感や「これが好き」という初期衝動が、客観的なデータによってかき消されてしまうのだ。結果として、自分の好みがわからなくなり、買い物に行くこと自体がストレスになる悪循環が生まれている。